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秋来ぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる

日本人は昔から微妙な季節の変化をほんのちょっとした風の変化の中に感じ取ってきました。風の温度の変化、湿度の変化に。風と共に聞こえる虫の音の変化、花や季節の植物の変化の香り、そして風の音の変化にも。この歌が感じ取っているのは「秋」ではなく、「秋が近付いてきた気配」です。古今集、巻第四(秋歌上)所蔵の三十六歌仙の一人藤原敏行の作としてよく知られています。

風には身近なところを吹く海風、山風から、地球全体を取り巻く大規模な大気の流れとしての風もあります。「昔から風をよむ」ことは天気を予測することでしたが、実際に風を知ることは天気・気象を理解することにつながります。風が雲を作ります。雨も雪も雲の中から降ってきます。雷も雲の中から雷鳴、稲光を発します。風に目を向けると、いままで見えなかった天気のいろいろな仕組みが見えてきます。

東風とは東から吹く春の風

冬が終わりに近づいてきたことを教えてくれる東から吹く暖かい春の訪れ。
しかし、うれしい春の風も、馬にはその価値がわからないという趣旨
「馬鹿」と書くくらいだから、馬をあまりりこうな動物とは考えていないようだ。
近年、動物のもつ感覚の鋭さがいろいろな面から知られるようになり、この諺も、
厳密にいったら、間違っているようにも思えます。
実際、春の訪れを先に敏感に感じ取るのは馬の方で、
人間はだいぶ経ってからやっと感じ取れるのかもしれません。
しかし、それはそれとして。

李白の詩

この諺は李白の詩「答王十二寒夜独有懐」がもとにある。
その内容は、
世人之を聞けば皆頭を掉り
東風の馬耳を射るが如き有り
もともとの詩の意味は、
人は聞いても、頭を振って聞き入れようとしない。
まるで春の暖かい東風が馬の耳に吹いても、
馬が冬の終わりや春の喜びを感じないのと同じことだ。
李白は、馬が馬鹿だと言っているのではなく、
人間こそが馬鹿であるといっているのでした。