旅客機は、上空を飛行するため、地上にあるものよりも、雷雲に近ずきます。場合によっては雷雲の中を飛行することもあります。そのため、飛行機が落雷を受けることは決して珍しいことではありません。およそ飛行時間3000時間程度で1回落雷にあうといわれています。
当然のことですが、なるべく雷雲をよけて飛行します。しかし、雷雲の近くを飛行して、被雷する場合、雷の威力は凄まじいものです。機体が破損したり、アンテナが溶解したりという事故に繋がります。2009年5月の落雷で墜落したと考えられているエールフランス機の場合、ブラジルからフランスへの飛行ですから、赤道を通過します。通過コースの大西洋の赤道付近は積乱雲の発生しやすい場所があり、雷の多発地域として恐れられていますが、コース上、どうしても完全に避けて通ることはできないといわれてます。そのためこの飛行ルートでは、被雷してしまう危険が大きいといえます。
飛行機にはスタティック・ディスチャージャー(放電装置 static discharger)という放電装置が設置されています。しかし、この装置は雷対策の機器ではなく、本来VHF/UHF無線機のノイズ防止の為にあります。飛行中に蓄積する静電気の電荷を空中へ放電する装置です。航空機の機体表面は空気分子や水滴、塵などとの衝突、摩擦により帯電します。その静電気が無線機にノイズとして乗ってしまいます。スタティック・ディスチャージャーはその静電気を逃がして音声をクリアにするためについています。 飛行機は通常雷が当たっても、このスタティック・ディスチャージャーのおかげで、うまく電気が逃げるように造られています。雷は機体表面を流れるので当たった雷は一瞬で大気中に放電されます。
スタティック・ディスチャージャーは避雷針ではありません。雷の電荷を処理することが目的の装置ではありません。 そのため、雷の直撃を受けた場合、雷の電圧は1~10億ボルト、電流は数万~数十万アンペアと言われており、落雷により受けた衝撃を100%の放電ができず、破損・出火を起こす可能性があります。 たびたびではありませんが、今回のエールフランス機のよう被雷して、墜落する事故が報告されています。